シンラインのfホールを見ると、普通のテレキャスターより軽くて、音も少し柔らかそうに見えます。見た目が気に入っているなら、それだけでも候補に入れる理由はあります。
でも、買う前に一つだけ確かめたいことがあります。
欲しいのは「テレキャスターの歯切れを残したシンライン」か、「ハムバッカーの太さを持つシンライン」か。
同じシンラインという名前でも、ここで選ぶモデルが変わります。
通常のテレキャスターとの違いを先に整理し、音の方向と困りやすい点を見たうえで、最後に具体的なモデルまで絞ります。軽さが目的なら、モデル名だけで決めない理由も確認しておきましょう。
テレキャスターとシンラインの違い
まずは普通のソリッドボディのテレキャスターと、シンラインを並べます。購入時に効くのは、fホールの有無だけではありません。
| 比べる点 | 一般的なテレキャスター | テレキャスター・シンライン |
|---|---|---|
| ボディ | 木材の詰まったソリッド構造 | 内部の一部を空洞にしたセミホロウ構造 |
| 外観 | 通常はfホールなし | fホールを持つモデルが代表的 |
| 定番のピックアップ | シングルコイル2基 | シングルコイル型とハムバッカー型がある |
| 音の選び方 | テレキャスターらしい輪郭を基準にしやすい | ピックアップの種類まで見ないと方向が定まらない |
| 重量 | 個体ごとに異なる | 空洞があっても必ず軽いとは限らない |
空洞があると、必ず軽くなる?
シンラインは、ボディの一部をくり抜いたテレキャスターです。
フェンダーのシンラインの成り立ちを紹介する記事によると、重いアッシュ材を使いながら軽量化する試みから生まれ、1968年に登場しました。
その成り立ちから「シンラインなら軽い」と思いたくなります。ところが、実際に肩に掛けるのはモデル名ではなく一本のギターです。木材やパーツの違い、個体差があるため、通常のテレキャスターより軽いと決めつけられません。
重さが購入理由なら、販売ページに実測重量がある個体を探すか、店頭で確かめてください。重量の数字をどう受け止めるかはテレキャスターの重量と4kgの目安で整理しています。
音の違いは、空洞より先にピックアップを見る
「通常のテレキャスターは鋭く、シンラインは暖かい」。この説明だけで買うと、想像と違う音に出会うかもしれません。
シンラインには、テレキャスターと同じ方向のシングルコイル型も、ワイドレンジ系ハムバッカーを2基載せた型もあります。後者の太さを空洞構造だけの効果だと思うと、選び方がずれます。アンプや弾き方も音に関わるので、「シンラインの音」を一種類として比べないことが大切です。
テレキャスターらしいリアの歯切れを手放したくない人は、まずシングルコイル型。コードの厚みやノイズの少なさを優先する人は、ハムバッカー型から見てください。フロントだけをハムバッカーにしたモデルなども含めて考えたい場合は、ハムバッカー搭載テレキャスターの選び方で配置ごとの違いを確認できます。
生音を目当てに買う必要はある?
ボディの空洞に惹かれて、家でアンプにつながず弾くときの響きを期待する人もいると思います。ソリッドボディと振動の伝わり方が違う可能性はありますが、アコースティックギターの代わりになる音量を期待するモデルではありません。
生音の印象は個体や部屋にも左右されます。ここは僕自身の実機比較としては語れません。夜に弾くためだけに予算を上げるより、普段使う音量で気持ちよく弾けるかを優先したいです。
シンラインには2つの代表的なタイプがある
空洞構造が共通でも、次の二つは買う理由がかなり違います。年代の数字を覚えるより、まずピックアップを見たほうが早いです。
| タイプ | ピックアップ | 残したい音・欲しい音 |
|---|---|---|
| 1960年代型 | テレキャスター用シングルコイル2基 | テレキャスターらしい輪郭と歯切れ |
| 1972年型 | ワイドレンジ系ハムバッカー2基 | コードの厚みとノイズの少なさ |
シングルコイル型なら、テレキャスターらしさが残る
fホールの見た目は好き。でもシングルコイルのリアを使ったカッティングは残したい。そんな人に近いのが1960年代型です。
たとえばFender Vintera II ’60s Telecaster Thinlineの仕様では、セミホロウのアッシュボディにテレキャスター用シングルコイル2基、3サドル式ブリッジを組み合わせています。
通常のテレキャスターと構成を近づけたまま、シンラインの外観を選べるわけです。
ただ、同じシングルコイル型でもネックの形や指板の丸みはモデルによって違います。音の方向が合ったら、次は握った感触と予算で候補を絞れます。
ハムバッカー型は、音の入口から違う
1972年型をもとにしたシンラインは、大きなワイドレンジ系ハムバッカーが目印です。一般的なシングルコイルのテレキャスターより、コードの厚みやノイズの少なさを重視する人にはこちらが気になるはず。
とはいえ、「ワイドレンジ」と書かれていれば全部同じ中身、同じ音ではありません。Squier Classic Vibe ’70sの仕様はFender Designedのワイドレンジ系ピックアップ2基。
Fender American Vintage II 1972の仕様はCuNiFeを使ったピックアップ2基です。
ここで高いモデルが気になっても、いったん立ち止まっていいと思います。ハムバッカー型を試したいだけなら、先にSquierを候補にできるからです。
シンラインのデメリット
ここまででシングルコイル型とハムバッカー型のどちらかに惹かれていても、注文前に次の点を通しておきたいです。
- 空洞があっても、狙った重さの個体が見つかるとは限らない
- 大音量や強い歪みでは、使用環境によってフィードバックが気になる可能性がある
- ビンテージ寄りの仕様は、指板の丸みやネック調整の方法が好みに合わない場合がある
- ハムバッカー型を買っても、定番のシングルコイルのテレキャスター音にはならない
フィードバックは音量、歪み量、アンプとの位置関係でも変わります。シンラインだからロックでは使えない、という話ではありません。普段から強い歪みを使うなら、似た設定で試奏できると安心です。
「シンラインは低音が弱い」「サスティンが短い」と一括りにする話も見かけますが、ピックアップもアンプ設定も違う個体を一緒にはできません。実際に比べていない機種の音を、僕の使用感として語ることもしません。
中古を選ぶなら、ネックとフレット、電装系、改造歴、重量を確認します。状態の判断に自信がなければ、価格が少し高くても保証のある楽器店の中古や新品から探したほうが失敗を減らせます。
テレキャスターとシンラインはどちらが合う?
選び方は、ここで三つに絞れます。
| 今、優先したいこと | まず残す候補 |
|---|---|
| 定番のテレキャスターらしい音と扱いやすさ | ソリッドボディのテレキャスター |
| 歯切れを残して、fホールのある一本が欲しい | シングルコイル型シンライン |
| 太めのコード感とハムバッカーの外観が欲しい | 1972年型シンライン |
| 肩への負担を減らしたい | 種類で決めず実測重量のある個体 |
初めてのテレキャスターで音の基準がまだないなら、ソリッドボディは分かりやすい選択です。現行モデルを予算から探す場合は、テレキャスターの予算別モデル案内へ進んでください。
一方、シンラインの見た目がずっと気になっているなら、それを無理に「音が優れているから」と言い換える必要はありません。手に取りたくなる一本かどうかも、趣味の買い物では大事です。
ただし高いモデルを買えば上達しやすくなる、という理由なら待ちます。ここから先は、どの仕様にお金を払うかの話です。
シンラインのおすすめ候補
シングルコイル型かハムバッカー型か。そこが決まれば、あとは「まず予算を抑える」か「年代仕様まで欲しい」かで候補を減らせます。実機未使用なので、以下は公式仕様に基づく選び分けです。
歯切れを残したいなら、まずClassic Vibe ’60s
Squier Classic Vibe ’60s Telecaster Thinlineは、Fender Designedのアルニコ・シングルコイル2基を搭載します。指板は9.5インチ、フレットはナロートール。
年代物らしい外観を楽しみつつ、指板の丸みは後述するVintera IIほど強くありません。フェンダーの製品仕様では、ナチュラル仕上げとケース別売も確認できます。
「まずシングルコイル型のシンラインを選びたい」なら、ここから価格を見ていいと思います。逆にFenderロゴや、1960年代に寄せたネックまで欲しい人には物足りないはず。
ケースが必要なら本体だけの値段で決めず、持ち運びまで含めた総額を確かめてください。
FenderのVintera II ’60s Telecaster Thinlineは、7.25インチ指板とビンテージトールフレット、3サドル式ブリッジを備えます。Classic Vibe ’60sより年代感のある仕様にお金を払いたい人向けです。
ただ、その指板の丸みやネック末端側の調整方法は、買った後に好みが分かれるところ。現代的な握りや調整のしやすさを重視するなら、Squierのままで十分候補になります。
Vintera IIは「高いから誰にとっても弾きやすい」モデルではありません。可能ならネックを握ってから選びたい一本です。
年代仕様まで欲しいと決まったら、まず掲載価格を見て、Squierとの差額に納得できるかを考えてみてください。試奏できるかは販売店にも確認できます。
太さが欲しいなら、Classic Vibe ’70sから
Squier Classic Vibe ’70s Telecaster Thinlineは、ワイドレンジ系ハムバッカー2基と6サドル式ブリッジを備えます。先ほどの’60sとはピックアップもブリッジも違うため、見た目の色違いとして選ぶギターではありません。
「fホールのある2ハムを弾きたい。でもCuNiFeピックアップまで必要かは分からない」
その段階で高額なモデルへ飛ぶ理由は薄いです。まずこの機種の販売条件を見て、予算内で欲しい一本があるか確かめられます。
Fender American Vintage II 1972 Telecaster Thinlineは、CuNiFeワイドレンジ・ハムバッカー2基、7.25インチ指板、6サドル式ハードテイルを備えています。ピックアップと1972年型の細かな再現に魅力を感じるなら、価格差を検討する意味があります。
でも、ハムバッカー型のシンラインが欲しいというだけなら、Classic Vibe ’70sで満たせる部分はあります。差額で何を買うのかを言葉にできないうちは、急がなくていい一本です。
CuNiFeやネック仕様が譲れないなら、掲載価格と選べるカラーを見て最終判断してください。
まとめ
テレキャスターとシンラインの違いを調べ始めると、空洞やfホールに目が行きます。買うモデルを決める段階では、シングルコイル型か、ワイドレンジ系ハムバッカー型かが先です。
歯切れを残したいならClassic Vibe ’60s、コードの厚みを優先するならClassic Vibe ’70sが、まず価格を確かめたい候補。年代仕様や特定のピックアップにこだわりが出たら、Vintera IIやAmerican Vintage IIまで予算を広げられます。
軽さだけが目的なら、どのモデルでも実際の個体重量を見る。ネックに不安があるなら、価格を比べる前に試奏する。その確認を終えて「この一本が欲しい」と思えたものを選んでください。
